欠格事由に該当しないこと
許認可を申請する際の欠格事由については、個人事業においては事業主、法人においては代表者や役員について要求されることが多いです。中には、施設管理者等においても欠格事由に該当しないことを要求している許認可もあります。
欠格事由の内容としては、当該許認可の取り消しや登録抹消等の処分を受けていないこと、あるいは取り消し等を受けたときから一定期間(3年や5年が多いです)を経過していないこと、未成年者や成年被後見人でないこと等を要求されるケースが多いです。
許認可の申請準備前に、まずは一度欠格事由を確認するようにしましょう。
事前に準備等が必要な場合
許認可を受けようとする際に、申請者個人や法人等に特別な要件が要求される場合があります。
主な項目としては、次のようなものがあります。
資産について
申請者に一定額以上の資金的な裏づけを要求する場合があります。その場合、申請者が法人の場合には、資本金が一定額以上であることが求められ、場合によっては純資産、現預金の額といった事項まで要求される許認可もあります。
会社法が施行され、資本金額が1円からでも会社設立が可能となりましたが、前述のとおり許認可を得るための条件として一定額以上の資本金が要求される場合がありますので、その点も視野に入れた会社設立の計画が必要です。
なお、資本金等の財産要件が設けられている許認可としては、建設業許可や労働者派遣事業許可、貸金業登録などがあります。
資格について
申請者が法人の場合は役員又は従業員が、申請者が個人の場合は事業主又は従業員が一定の資格を有していることが許認可の条件となっている場合があります。
この場合、国家資格が要求されるといったものから1日または数日の講習会を受講すれば済むものまであります。
例えば、化粧品製造販売業の許可を受ける場合には、総括製造販売責任者として薬剤師等が常勤の職員として必要になります。
一方、飲食店の営業許可を得るときに必要とされる食品衛生責任者については、調理師免許取得者や栄養士等の国家資格者はもちろん要件を満たしていますが、このような資格がない者であっても講習会(1日)を受講すれば食品衛生責任者になることができます。
定款の記載
法人を設立した場合は、その定款で事業目的を定め、それらが登記されますが、その定款の事業目的に許認可の対象となる事業が明記されていなければならない場合があります。(ほとんどの許認可において明記されることが要求されます。)
また、その事業目的の記載方法が登記申請の際には問題にならなくても、許認可申請の際に、定められた記載方法でなければならない場合もあるので、会社設立時における事業目的の決定は慎重に行う必要があります。
したがって、許認可取得を視野に入れて会社を設立する場合には、事前に許認可の申請先へどのような事業目的の記載が望ましいか確認しておくようにしましょう。
開業場所
許認可とは別に、事業用の建築物には、場所による制限があり、好きな場所に好きな建物を自由に建てられるわけではありません。
地域により建築できるものに制限があります。これを「用途地域」といいます。
飲食店等の店舗を建築する場合の制限は次のようになります。
用途地域 | 建築可能な店舗(飲食店等) |
---|---|
第一種低層住居専用地域 | 住宅で住所、店舗等を兼ねるもの (非住宅部分の床面積が、50㎡以下かつ建築物の延べ床面積の1/2未満のもの) |
第二種低層住居専用地域 | 床面積150㎡以下のもの |
第一種中高層住居専用地域 | 床面積500㎡以下のもの |
第二種中高層住居専用地域 | 床面積1,550㎡以下のもの |
第一種住居地域 | 床面積3,000㎡以下のもの |
第二種住居地域 | 建築可能 |
準住居地域 | 建築可能 |
近隣商業地域 | 建築可能 |
商業地域 | 建築可能 |
準工業地域 | 建築可能 |
工業地域 | 建築可能 |
工業専用地域 | 建築不可 |
店舗等がどの地域に該当しているかについては、市役所等の建築関係部署で確認することができます。
なお、許認可によっては上記用途制限のほか、距離制限というものが要件として設けられているものがあります。
例えば、法律上の風俗営業(パチンコ店や麻雀店、キャバクラ等)においては、学校や児童施設等から一定の距離離れていなければなりません。
開業施設
許認可を得る要件として、事業所に所定の面積を求めるものや、設備面で所定の構造設備が必要な場合があります。
例えば、一般労働者派遣事業では20㎡以上の広さが必要であり、不動産業(宅地建物取引業)では他の事業と混在した事務所ではなく、出入口を別にすることなどが要求されています。
また、旅館業や飲食店の営業許可の場合は、それぞれ事業所に必要な客室の構造設備や厨房の構造設備が定められており、これらは、食品衛生法や旅館業法に基づくものと、消防法に基づくものがあります。
事業用の不動産物件を探す場合や内装工事の設計をする場合には、得ようとする許認可がどのような事業所を要求しているか、事前に調べておくようにしましょう。